携帯の音声通信方式には、いろいろな変遷があります。
今では、多数の人が同時にスマホで通話ができるのはどうしてなんでしょうか?
あまり考えずに使ってますが、すごい技術があるんですね。
音声通信方式の変遷/1Gから5Gまでの移動通信システムの進化
音声通信方式は、1Gから5Gまでの移動通信システムの進化とともに変化してきました。
1Gでは音声をアナログ変調方式で電波に載せて送信し、FDMAやFDDというアクセス方式を採用していました。
2Gでは音声をデジタル化し、TDMAやCDMAというアクセス方式を採用していました。
3Gでは音声とデータの両方をIPパケット化し、W-CDMAやOFDMAというアクセス方式を採用していました。
4Gでは音声もデータもすべてIPパケット化し、OFDMAやSC-FDMAというアクセス方式を採用していました。
5Gでは音声もデータもさらに高速・大容量・低遅延・多接続に対応するために、新たな周波数帯や無線技術を導入しています。
電話の歴史における音声通信方式の変遷
電話は19世紀に発明された技術であり、最初は有線電話でした。有線電話では音声を電気信号に変換し、専用の回線で伝送していました。
無線電話は20世紀初頭に発明された技術であり、最初は無線電信(モールス符号)でした。
無線電話では音声を無線波(電波)に変換し、空中で伝送していました。
携帯電話は20世紀後半に発明された技術であり、最初は自動車電話でした。携帯電話では音声を無線波(マイクロ波)に変換し、基地局と交信していました。
VoIP(Voice over Internet Protocol)は21世紀初頭に普及した技術であり、インターネット上で音声通話が可能になりました。
VoIPでは音声を小さなデータ(パケット)に分割し、IPネットワーク上で伝送しています。
音声通信方式進化の鍵は?
ズバリ音声データ圧縮技術の向上です。
通信できる電波には帯域幅というものがあります。
「幅」ですから限界があります。この帯域幅を多く使うことで良い音質で通話ができます。
しかし、多くの台数を接続しようとすると、1台で占有できる帯域幅が狭くなります。
そうすると、音声信号を送る際に少ししかデータが送れないので音質が劣化してしまうのです。
アナログ時代は発した声(音)と周りの雑音をすべて信号に変換し相手に送っていたため、音声データが大きくなっていました。
そのため、一台あたりの電波の占有率が高く、音声の劣化を抑えるために同時に接続できる台数が限られてしまっていました。
その問題を解決すべく編み出された方法がPDC方式です。
これは音声データを圧縮したものを電波で送ることで、1台あたりの占有率を下げ、より多くの台数を接続できるようにしたものです。
これによりアナログ時代よりも多くの台数を接続しても音声が劣化しないようになりました。
そして、このPDC方式をより高度に発展させた方式がCDMA方式です。
PDC方式よりも音声データの圧縮率を上げ、更に多くの台数が同時に接続できるようになりました。
データを圧縮すると音声品質は下がるのではないか?と思う人もいると思います。
正解です。下がります。
しかし、この圧縮技術は音質が極力劣化しないように工夫されています。
例えば、雑音に近い音をカットするとか人間の聴覚機能的に聞き取りやすい部分は残し聞き取りにくい部分をカットして取捨選択をするなど、会話に必要な部分だけを効率的に残すことができるよう細かな工夫がなされています。
要するに、音声データ圧縮技術によって、帯域幅の占有率が狭くても音質を確保できるようになったということです。
こうした技術の変遷を経て、今現在日本の携帯電話やスマートフォンでの通話が安心して多くの人に利用できるようになってきたのです。
スマホで通話ができるのはどうして?多数の人が同時に?音声通信方式の変遷まとめ
- 通信方式はアナログ→PDC→CDMAと方式が変わっていった
- 方式が変化する過程でより多くの台数が同時接続しても音質が劣化しないようになっていった
- 音声データ圧縮技術は圧縮の過程で極力音質を劣化させないように工夫されている
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